トラックにおけるオートマ(自動変速機、AT)の普及率は、近年上昇傾向にありますが、商用車においてはその導入には慎重な部分もあります。
これにはいくつかの理由がありますが、主に次のポイントに分けて説明します。
トラックにおけるオートマの歴史的な背景
従来のトラックにはマニュアルトランスミッション(MT)が主流でした。
これは、商用車においては燃費の効率や耐久性、そして運転者がより細かい制御をできるため、特に重量物を運ぶトラックでは有利とされていたからです。
また、オートマの技術が一般乗用車に比べて遅れていたため、トラックに搭載するには限界がありました。
オートマトラックの普及要因
オートマトラックの割合は徐々に増加していますが、これはいくつかの技術進歩や社会的要因が関係しています。
- 運転手の高齢化・人手不足
トラック業界では運転手の高齢化が進んでおり、運転手の負担を軽減するため、操作が簡単で疲れにくいオートマが求められるようになっています。また、若年層にとってMT車の運転はハードルが高いため、ATが導入されることで新しい運転手の確保がしやすくなるという点もあります。 - 技術の進化
オートマチックトランスミッションの技術が大幅に進化し、燃費効率や走行性能が改善されています。特に商用車向けの「AMT(オートメーテッド・マニュアル・トランスミッション)」と呼ばれるタイプが普及し、これによりATの利便性とMTの燃費効率を併せ持つシステムが多くのトラックに採用されています。
普及率の現状
トラックにおけるオートマの割合は、車種や用途によって異なります。
2020年代以降、日本国内では3トントラック以上の中・大型車両ではオートマ車が徐々に増えてきており、一部のデータによると、特に大型トラックではATやAMTの導入が進んでいます。
一方で、依然として多くの業務用トラックではマニュアルトランスミッションが使用されていますが、これは燃費の最適化や操作に慣れているドライバーが多いこと、そして一部の業務ではMTの方が利便性が高いことが理由とされています。
今後の見通し
トラック業界でも、AT車の割合は引き続き増加する見通しです。
これは電気トラックや自動運転技術の進展とも関連しており、特に都市内配送や長距離運送においては、オートマ車の需要が増えると予想されます。
また、環境対策や運転手の働きやすさを考慮した結果として、各メーカーもオートマ車のラインナップを強化しています。
一方で、特定の用途(山道や重い荷物の運搬)では、今後もMT車が支持され続ける可能性があるため、トラック業界全体が完全にATに移行するのはまだ先の話かもしれません。
世界的な状況
欧米では、日本に比べてオートマトラックの普及率が高い傾向にあります。
特に欧州では、ATやAMTの導入が進んでおり、安全性や燃費向上のために自動変速機が標準化されつつあります。
また、北米では大型トラックの多くがオートマ車に移行しています。
全体として、トラックのオートマの割合は確実に増加しており、運転者のニーズや技術革新によって、今後もその割合は高まっていくと考えられます。
ただし、用途や地域、運送業務の性質によって、ATとMTの選択肢が依然として共存する状況は続くでしょう。