トラックのクラッチの「エア噛み」とは、クラッチ油圧システムに空気が混入してしまうことで発生する現象を指します。
クラッチの作動は通常、油圧によって行われますが、そのシステムに空気が入ると、クラッチの操作がスムーズに行えなくなり、いくつかの症状が現れます。
以下にエア噛みが起こった際の症状とその原因、対処法について詳しく説明します。
目次
エア噛みの主な症状
クラッチペダルが柔らかく感じる
- 通常、クラッチペダルを踏むとしっかりとした抵抗感がありますが、エア噛みが発生するとペダルが「スカスカ」した感触になり、踏み込みが浅く感じることがあります。
クラッチの切れが悪い
- クラッチペダルを踏んでも完全にクラッチが切れず、ギアがうまく入りにくい、またはギアを入れたときに「ギア鳴り」することがあります。これは、クラッチプレートが完全にエンジンと切り離されていないために発生します。
クラッチペダルの戻りが悪い
- クラッチペダルを離したときに、正常ならばすぐに元の位置に戻りますが、エア噛みが発生すると戻りが遅かったり、完全に戻らなかったりします。
異常な音がする
- クラッチ操作中に「プシュプシュ」や「ゴボゴボ」といった音がすることがあります。これは空気が油圧ライン内で移動することによって発生する音です。
エア噛みが発生する原因
クラッチマスターシリンダーやスレーブシリンダーの劣化
- 長期間使用することで、シリンダー内部のシールが劣化し、隙間から空気が入り込むことがあります。これがエア噛みの主な原因のひとつです。
油圧ホースや配管の損傷
- クラッチシステムの油圧ホースやパイプが損傷している場合、そこから空気が混入することがあります。特に劣化したゴムホースや配管が原因となることが多いです。
フルード交換時の不適切な作業
- クラッチフルードを交換する際に、エア抜き作業が不十分だと、油圧ライン内に空気が残り、エア噛みの原因となります。
クラッチシステムの漏れ
- クラッチシステム内のフルードが漏れている場合、フルードが不足し、空気がシステム内に入り込むことがあります。漏れがある箇所は、フルードの漏れ跡を確認することで特定できます。
対処法
エア抜き作業
- 最も基本的な対処法は、クラッチシステム内の空気を抜く作業です。通常、クラッチペダルを数回踏み込んで保持し、シリンダーのエア抜きバルブを開放することで空気を排出します。この作業を繰り返して完全に空気を取り除きます。
クラッチフルードの交換
- 劣化したフルードは、空気を含みやすくなります。定期的にクラッチフルードを交換し、エア噛みの原因を予防します。
部品の点検と交換
- クラッチマスターシリンダーやスレーブシリンダーのシールが劣化している場合、それらの部品を交換する必要があります。また、油圧ホースや配管に損傷が見られた場合も同様に交換が必要です。
システム全体の点検
- 漏れや部品の劣化がないか、クラッチシステム全体を点検することが重要です。特に古いトラックの場合、システム全体が劣化している可能性があるため、点検を怠らないようにしましょう。
まとめ
トラックのクラッチのエア噛みは、クラッチ操作が不安定になる原因のひとつで、特にクラッチペダルの感触が変わることや、ギアが入りにくくなることが特徴です。
原因としては、クラッチシリンダーの劣化やホースの損傷、フルードの交換不備が考えられます。
エア抜き作業や部品の交換を行い、定期的なメンテナンスをすることで、エア噛みを防ぐことができます。