トラックの「平車」(ひらしゃ、または「フラットベッドトラック」)は、貨物を積むための荷台がフラットな形状をしたトラックの一種です。
荷台に屋根や側面の壁がなく、平らな床面だけで構成されているため、さまざまな大きさや形状の貨物を積むことが可能です。
平車は建設資材や大型機械、工業製品、木材など、形状が不規則だったり、通常のボックス型トラックでは積み込みにくい荷物を運ぶのに適しています。
以下に平車の特性、利点、使用状況について詳しく解説します。
目次
平車の構造
- 荷台がフラット:平車の最大の特徴は、荷台が完全に平らであることです。側面や上部に何もなく、開放された形状をしています。
- あおり板(取り外し可能な側板):一部の平車には「あおり板」と呼ばれる取り外し可能な側板が取り付けられており、積み降ろしの際に簡単に取り外して、荷物を横からも積み込めるようになっています。この機能により、荷物を効率的に積載できます。
- 荷締め装置:貨物を固定するためのベルトやチェーンを使って荷物をしっかりと固定する装置が付いており、走行中に荷物が動かないように安全性が確保されています。
平車の用途
平車は以下のようなケースで多く使用されます。
- 大きな重量物:重機、コンテナ、大型の金属製品など、重量のある物を運搬する際に使用されます。これらの物品は形状が特殊で、通常のトラックの荷台に収まらないため、フラットな平車が便利です。
- 長尺物:長い鉄鋼材や木材、パイプ、電柱など、通常のトラックでは収まりきらない長さの物を運ぶのに適しています。平車は荷台が開放されているため、長尺物を積載しやすい構造です。
- 大型の機械や設備:工場設備、発電機、大型のエンジンなどの工業機械を運搬する際に使用されることが多いです。機械自体が非常に大きく、通常のトラックでは高さや幅の制限があるため、平車のフラットな荷台が必要になります。
- 建設現場:平車は建設現場でもよく見かけます。建築資材や重機の輸送、プレハブ住宅や大型のコンテナを運ぶ際など、多様な用途に使われます。
平車のメリット
- 積み込みの柔軟性:荷台に側面や天井がないため、フォークリフトやクレーンを使って荷物を横からでも上からでも積み込むことができます。これにより、大型で形が複雑な荷物も容易に積載可能です。
- 多様な貨物対応:平車は非常に汎用性が高く、通常のトラックでは運べないような大型や不定形の貨物を運搬できます。そのため、建設業、製造業、物流業界で幅広く使用されています。
- 長尺物の運搬:荷台が開放されているため、貨物の一部が荷台から突き出るような形でも輸送でき、長い資材や物品を容易に運ぶことができます。
平車のデメリット
- 天候の影響:平車には屋根やカバーがないため、雨や雪、風などの天候に直接影響を受けます。そのため、濡れては困る貨物や外部の要因に敏感な貨物の輸送には適しません。対策として、シートで荷物を覆うことが多いです。
- 荷物の固定:側面や上部がないため、貨物が動かないようにしっかりと固定する必要があります。荷崩れを防ぐためには、特別な荷締め装置や技術が必要です。
- 防犯性の低さ:平車は荷台が露出しているため、荷物が外から見える状態になります。そのため、高価な品物や盗難のリスクがある品物の運搬には注意が必要です。
さまざまな種類の平車
平車にもいくつかの種類があります。主に積載する荷物の性質や用途に応じて、以下のようなバリエーションが存在します。
- ウィングボディ付き平車:荷物を簡単に積み込めるよう、側面が翼のように上に持ち上がるタイプです。この構造により、積み下ろしの効率が向上します。
- 超低床型平車:車両の全高をできるだけ低くして、高さ制限のあるトンネルや橋の下を通過する必要がある場合に適したタイプです。高い貨物を運ぶ際に便利です。
- ステップデッキタイプ:荷台が二段構造になっているタイプで、異なる高さの貨物を積むことができます。
運転と取り扱いのポイント
平車の運転には特別な注意が必要です。特に、荷物がむき出しで固定されているため、急カーブや急ブレーキを避けることが重要です。
また、重量のある貨物を運ぶ際は、ブレーキ性能に影響が出る可能性があるため、制動距離に注意して運転する必要があります。
さらに、積荷が高い場合は高さ制限のある場所に注意が必要です。
まとめ
トラックの平車は、フラットで開放的な荷台を持つトラックで、大型で不規則な形状の貨物や長尺物、重量物の輸送に適した車両です。
建設現場や工業用途、物流業界で頻繁に使用されており、積み降ろしの柔軟性や多様な貨物に対応できる点が大きな利点です。
ただし、天候や防犯対策、荷物の固定には注意が必要です。