トラックの冷却水のエア抜き(エアブリーディング)は、冷却システム内に溜まった空気を取り除く作業で、エンジンのオーバーヒートを防ぎ、効率的な冷却を確保するために重要です。
エアがシステム内に残ると、冷却水の流れが妨げられ、冷却効果が低下する可能性があります。
以下にトラックの冷却水のエア抜きの方法を詳しく説明します。
目次
必要な道具と準備
- 適切な冷却水: トラックのメーカー指定の冷却水(クーラント)を使用します。冷却水はエンジンの種類や気候条件によって異なるため、必ず指定されたものを使用してください。
- ラジエーターキャップ: ラジエーターキャップを外すための手袋や工具があると便利です。
- 漏斗: 冷却水を補充する際に使用します。
- 排気用ホース(必要に応じて): 一部のトラックではエア抜き用のバルブやホースが装備されている場合があります。
エア抜きの手順
エア抜き前の準備
- エンジンの冷却: エンジンが完全に冷えていることを確認します。エンジンが熱い状態でラジエーターキャップを外すと、熱い冷却水が吹き出す危険がありますので、必ずエンジンが冷えてから作業を行ってください。
- トラックの位置: トラックを平坦な場所に停車させます。これにより、エア抜き作業中に冷却水が均等に循環しやすくなります。
エア抜き作業
- ラジエーターキャップの取り外し: エンジンが冷えていることを確認し、ラジエーターキャップをゆっくりと外します。圧力がかかっている場合、冷却水が飛び散ることがあるので注意してください。
- 冷却水の補充: ラジエーターの開口部に漏斗を使って冷却水をゆっくりと注ぎます。冷却水がラジエーターの縁に達するまで補充します。
- エア抜きバルブの確認: トラックによっては、エア抜き用のバルブやホースが設置されている場合があります。このバルブを開けて、システム内のエアを逃がします。
- エンジンの始動: ラジエーターキャップを外したままエンジンを始動し、数分間アイドリングさせます。エンジンが温まり始めると、冷却水が循環し始め、エアがラジエーターの開口部から排出されます。この際、エアが抜ける音や気泡が見られることがあります。
- 冷却水の補充とエア抜き: エアが抜けると冷却水のレベルが低下するので、適宜冷却水を補充します。気泡が出なくなるまでこの作業を繰り返します。
- ヒーターの作動確認: 室内のヒーターを最高温度に設定して作動させます。ヒーターコアにもエアが溜まることがあるため、ヒーターを作動させることでエアを抜くことができます。
エア抜き後の確認
- ラジエーターキャップの締め直し: エアが完全に抜けたことを確認したら、ラジエーターキャップをしっかりと締め直します。キャップがしっかりと閉まっていないと、冷却システムの圧力が維持できず、オーバーヒートの原因となります。
- リザーバータンクの確認: リザーバータンクの冷却水のレベルを確認し、適切な量に調整します。リザーバータンクにもエアが溜まることがあるため、こちらも確認が必要です。
- 試運転: エンジンを再始動し、通常運転温度に達するまで走行します。温度計を確認し、オーバーヒートの兆候がないか注意します。また、ヒーターの作動状態も確認しておきましょう。
エア抜きの注意点
- 安全第一: エンジンが熱い状態でラジエーターキャップを外さないようにしてください。高温の冷却水が吹き出すと火傷の危険があります。
- エア抜きバルブの取り扱い: 一部の車両には専用のエア抜きバルブが付いていますが、バルブの開閉には注意が必要です。強く締めすぎると破損する恐れがあります。
- 冷却水の漏れ: エア抜き作業後、冷却システムに漏れがないか確認してください。漏れがあるとエアが再びシステム内に入る可能性があります。
エア抜きは、トラックの冷却システムの効率的な運用を確保するための重要なメンテナンス作業です。
冷却水の交換時やシステムの修理後には必ずエア抜きを行い、エンジンのオーバーヒートを防ぐようにしましょう。