軽トラックを改造してキッチンカー(移動販売車)を自作することは可能ですが、法規制、設計、設備、許可、費用 などをしっかり把握する必要があります。
ここでは、軽トラキッチンカーを自作するための具体的なステップを詳しく解説します。
目次
軽トラック選び
軽トラの選び方は、改造のしやすさや用途に大きく関わります。
軽トラを選ぶポイント
- 車両サイズ: 「軽トラ規格(長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下)」のものを選ぶ
- 荷台の広さ: 広めの荷台(ロング荷台タイプ)が使いやすい
- 最大積載量: 約350kgまでの重量制限があるので、設備の重量を考慮する
- 駆動方式: 平坦な街中であれば2WD、山間部や悪路を走るなら4WDを選ぶ
- 中古か新車か: 予算に応じて中古車の購入も選択肢になる(目安:中古30万~80万円)
キッチンカーの構造を決める
キッチンカーの形状や構造は、販売する商品の種類によって変わります。
荷台の改造方法
改造方式 | 特徴 |
---|---|
シェル(ボックス型)を設置 | 軽トラの荷台にキッチン専用の箱(シェル)を搭載する方式。耐久性が高く、雨風に強い。 |
幌(テント型)を利用 | コストを抑えられるが、保健所の許可が下りにくい場合がある。 |
屋根付き加工 | 荷台に簡易な屋根を取り付けることで、開閉式の店舗スペースを作る。 |
設備の準備
キッチンカーとして営業するために必要な設備を準備する。
必須設備(保健所の基準を満たすため)
- シンク(2槽以上) – 手洗い用+調理用
- 給排水タンク – 給水タンク(80L以上)+排水タンク(同容量以上)
- 冷蔵庫・冷凍庫 – 食材を適切に保存するため
- 換気扇(強制換気装置) – 火気を使う場合必須
- 調理機器 – IHコンロ、ガスコンロ、電気調理器など
- 作業台・収納 – 作業スペースの確保
- 電源設備 – 発電機 or 外部電源 or サブバッテリー
- 販売カウンター・メニュー表示 – 顧客が購入しやすい設計
法律・許可申請
キッチンカー営業には、以下の許可が必要。
食品営業許可(保健所)
各地域の保健所で営業許可を取得する必要がある。
- 必要書類:
- 営業許可申請書
- 施設の設計図
- 使用する車両の登録証明
- 食品衛生責任者の資格証明
- 仕入れ先のリスト
- 費用:
- 1万~3万円程度(自治体によって異なる)
車両の改造申請(陸運局)
荷台を改造すると、構造変更申請が必要になる場合がある。
- 荷台のシェルを取り付けると「8ナンバー(特殊車両)」への変更が必要な場合あり
- 大幅な改造でなければ4ナンバー(軽貨物)のまま運用可能
移動販売の許可
出店場所によっては、自治体や警察から道路使用許可や公園使用許可が必要になる。
費用の見積もり
軽トラをキッチンカーに改造する際の大まかな費用を計算してみます。
費用の目安
項目 | 費用(目安) |
---|---|
軽トラック(中古) | 30万~80万円 |
シェル(箱)製作 | 20万~60万円 |
給排水設備 | 5万~15万円 |
電気設備(バッテリー・発電機) | 5万~20万円 |
冷蔵庫・調理器具 | 10万~30万円 |
車両改造申請 | 2万~5万円 |
営業許可(保健所) | 1万~3万円 |
合計 | 約70万~200万円 |
コストを抑えるために、
- 中古の軽トラを使う
- 必要最低限の設備からスタートする
- 自作できる部分はDIYする などの工夫をすることで、50万円以下に抑えることも可能。
収益モデル
キッチンカーの収益は、営業日数・販売商品・集客力によって大きく変わります。
収益のシミュレーション
項目 | 収入・支出 |
---|---|
1日の売上(単価700円×50食) | 3万5000円 |
材料費(原価30%) | 1万500円 |
移動費(ガソリン・駐車場) | 2000円 |
その他(電気・消耗品) | 3000円 |
1日の利益 | 1万9500円 |
月20日営業の利益 | 約39万円 |
成功のためのポイント
- 販売メニューの差別化
- SNS映えするメニュー
- 地域特産品を活かしたオリジナル料理
- 健康志向やヴィーガン対応メニュー
- 出店場所の選定
- イベント・フェス(人が集まる)
- オフィス街・公園(ランチ需要がある)
- 商業施設の駐車場(許可が取れれば安定)
- SNS・マーケティング
- InstagramやX(旧Twitter)で情報発信
- LINE公式アカウントでリピーター獲得
- 「キッチンカー出店情報サイト」に掲載
まとめ
軽トラックをキッチンカーに自作することは可能ですが、法規制の理解、設備の計画、出店戦略 が重要になります。
最初は最低限の設備でスタートし、営業をしながら改善していく方法がおすすめです。
もし具体的な改造プランや許可取得のサポートが必要であれば、キッチンカー専門業者や行政の窓口に相談するのも良いでしょう。