トラックの「低床」と「高床」は、トラックの荷台や車体の地面からの高さに関する特徴を指しています。
これらの違いは、トラックの用途や積載する荷物の種類、運搬する際の利便性に大きく影響します。
以下では、低床と高床の違いについて詳しく説明します。
目次
低床トラック（低床車）
低床トラックは、荷台の高さが地面に対して低く設定されているトラックを指します。
具体的には、荷台が地面からおよそ75cmから90cm程度の高さに設計されています。
低床トラックの特徴:
- 荷台の高さが低い:
低床トラックは、積み降ろしがしやすく、特に重量物や大きな荷物を扱う際に利便性が高いです。フォークリフトや手動の台車を使って荷物を載せる場合、荷台が低いため作業が効率よく行えます。 - 荷物の積載が楽:
荷台の高さが低いため、人力での荷物の積み降ろし作業も負担が少なく、作業者が重い荷物を高い位置に持ち上げる必要がなくなります。 - トラックのタイヤが小さい:
低床トラックは、一般的に小径のタイヤを使用していることが多いです。タイヤが小さいことで車体全体を低く保つことができ、その結果、車高を抑えて荷台の高さを低くしています。 - 利便性の高い用途:
引っ越し業務、宅配便、飲料の配送、家電製品の運搬など、重量物や大型の荷物を多く扱う業界で使用されることが多いです。また、建築資材の運搬など、作業現場での効率性を重視するケースでもよく利用されます。 - 荷台のスペース:
タイヤの大きさに制約があるため、車両全体の高さは抑えられますが、時にはタイヤ部分が荷台スペースに影響を与えることがあります。タイヤハウスが荷台内部に出てくることがあるため、荷台の平面性が若干損なわれることがあります。
低床トラックのメリット:
- 荷物の積み下ろしが簡単。
- 労働力を軽減し、作業効率が向上。
- 低重心で安定した走行が可能。
低床トラックのデメリット:
- 車体が低いため、悪路や段差のある場所では不利。
- 小径タイヤのため、積載重量に限界がある。
高床トラック（高床車）
高床トラックは、荷台の高さが地面から比較的高く設定されているトラックを指します。
高床トラックの荷台は、通常100cmから120cm以上の高さに設計されています。
高床トラックの特徴:
- 荷台の高さが高い:
荷台が高いことで、地面からの距離が大きくなり、一般的には大径のタイヤを装備しているため、荒れた路面や不整地での走行性能が高まります。 - 耐久性の向上:
高床トラックは、大径のタイヤを使用するため、悪路や不整地でも安定して走行できます。また、頑丈なシャーシ構造を持つため、耐久性に優れ、重い荷物を積むことが可能です。 - 積載量が多い:
高床トラックは、重量物を積むことが想定されているため、積載量が大きいことが特徴です。通常の低床トラックよりも耐荷重が大きいことから、建設資材や農産物、大型機械など重量物を運搬する用途に適しています。 - 荷台のフラット性:
高床トラックの荷台はタイヤハウスの影響を受けにくく、フラットなスペースが広いため、荷物の配置や積み込みが容易で、効率的に荷物を積むことができます。 - オフロード適性:
高床トラックは、山間部や農道などの未舗装路でも走行性能が優れており、そうした場所での利用が多くなります。
高床トラックのメリット:
- 荷台スペースが広く、タイヤハウスが邪魔にならない。
- 大径タイヤにより、悪路や段差に強い。
- 重量物を積載できる耐荷重性が高い。
高床トラックのデメリット:
- 荷台の高さが高いので、手作業での積み下ろしが大変。
- 重心が高く、急カーブや強風時の安定性が低くなる可能性がある。
用途別の使い分け
低床トラックの用途:
- 都市部での配達業務: 荷物の積み下ろしが頻繁に行われる業務では、低床トラックの方が効率的です。飲料の配送や家具、家電などの配送業務、引っ越し業者などに適しています。
- 軽量物や中型の荷物を頻繁に運ぶ場合: 作業員の負担を軽減するため、積み下ろしが楽な低床トラックが選ばれます。
高床トラックの用途:
- 建設現場や農場での使用: 重量物や不整地での走行が必要な業務に適しています。建設資材、農産物、重機などの運搬に使われることが多いです。
- 長距離輸送や荒れた道路での運搬: タフな走行条件に耐えられるため、農道や山間部、未舗装路での走行が必要な場合に高床トラックが選ばれます。
まとめ
低床トラックは、荷台が低いため積み降ろしがしやすく、都市部や軽～中量の荷物を運ぶのに適しています。
一方、高床トラックは、頑丈な構造と高い荷台を持ち、重量物の運搬や悪路での走行に適しています。
使用目的や運搬する荷物の特性に応じて、低床と高床のトラックを使い分けることが重要です。
