ダイハツ工業が新車の安全性を確認する試験で不正をしていた一連の問題について、車種別に解説を行っています。
ダイハツブーン（2016～2023）とそのOEM車のトヨタパッソ（2016～2023）は、その実用性と経済性で多くのファンを持つ車種です。しかし、これらの車種における一連の不正行為が明るみに出たことで、消費者の信頼は大きく揺らぎました。以下に、各試験項目における不正の詳細と、それに伴うリスクを解説します。
不正行為と試験項目
1. 後面衝突試験における不正行為
後面衝突試験は、車が追突された際に乗員がどの程度の影響を受けるかを測定するためのものです。不正行為には、衝突速度と試験車両重量の虚偽記載が含まれていました。これにより、車両の安全構造が実際よりも優れていると誤った情報が記載され、実際には存在しない安全性が提供されていた可能性があります。
2. シート慣性荷重試験における不正行為
シート慣性荷重試験は、衝突時にシートがどのように挙動するかを確認するために行われます。この試験において、不正により不適切な試験結果が適切なものと差し替えられたことが発覚しました。これは、実際の安全基準に達していないシートの構造を隠蔽する行為であり、乗員の安全を著しく損なうものです。
3. 制動装置試験における不正行為
制動装置試験では、車両がどれだけ迅速かつ効果的に停止できるかを測定します。制動初速度のデータを操作することで、車両がより短い距離で停止できると虚偽の結果が示されました。これにより、実際の運転状況において想定外の停止距離が必要になるリスクが生じます。
4. ヘッドランプレベリング試験における不正行為
ヘッドランプレベリング試験は、夜間運転時における視認性を確保するために重要な試験です。この試験において清算走行距離および試験実施回数が虚偽記載されたことが判明しました。これは、適切なヘッドランプの調整が行われていない可能性を示し、夜間の安全運転において他の車両や歩行者に対する危険を高める結果となります。
まとめ
トヨタパッソとダイハツブーンにおける一連の不正行為は、自動車業界における品質管理と消費者の安全に対する深刻な懸念を投げかけています。自動車メーカーは、これらの問題を真摯に受け止め、内部の監査体制を強化し、消費者の信頼を回復するための具体的な行動を急ぐ必要があります。消費者としては、購入前に車両の安全性能についての情報をしっかりと確認することが求められるでしょう。
乗り続けることの安全性
消費者にとって最も重要なのは、不正が行われた車種を乗り続けても安全なのかという点です。ダイハツ工業の社長は、一部の安全性については確認中であるものの、大半の車種において乗り続けても問題はないと述べています。しかし、これらの発表だけでは、消費者の不安を完全に解消するには至らないでしょう。
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日本経済新聞「ダイハツ不正、取引先「ひと月の売り上げ1億円飛ぶ」
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