キッチンカー(移動販売車)は、車両の限られたスペースの中で調理を行うために、効率的にレイアウトされています。
その内部は、車種や提供するメニューによって異なりますが、一般的なキッチンカーの内部構造と設備について詳しく解説します。
目次
キッチンカーの基本構造
キッチンカーの内部は、大きく分けて次のようなエリアに分かれています。
調理エリア
料理を調理するためのスペースで、火を使う機器や作業台が配置されます。
メニューによって設備が異なりますが、一般的に以下のような機器が備えられています。
- ガスコンロ / IHクッキングヒーター
- 炒め物や焼き物を作るために使用。
- 火を使う場合は、換気設備(換気扇やフード)も必要。
- IHを採用する場合は、電力供給の確保が必要。
- グリドル(鉄板) / ホットプレート
- ハンバーガー、ステーキ、ホットサンドなどを調理する際に使用。
- フライヤー
- 唐揚げ、ポテトフライ、天ぷらなどを揚げる際に使う。
- オーブン / トースター
- ピザやパン、焼き菓子の提供をする際に利用。
- 電子レンジ
- 仕込み済みの食材を温めるのに便利。
- 炊飯器 / 保温ジャー
- ライスボウルやカレーライスなどを提供する場合に使用。
- シンク(流し台)
- 衛生管理のため、調理前後の手洗いや食器洗いに必須。
- 保健所の基準により、2槽シンクまたは3槽シンクの設置が必要になることが多い。
仕込み・作業スペース
調理を補助する作業台や、食材を保存・準備するエリアです。
- 作業台 / カウンター
- 料理の盛り付けや下ごしらえを行うスペース。
- ステンレス製のものが多く、清掃がしやすい。
- 冷蔵庫 / 冷凍庫
- 食材の保存に必須。
- キッチンカー用の小型冷蔵庫、業務用の冷凍ストッカーなどを設置することが多い。
- 食材収納棚
- 調味料や乾物、使い捨て容器などを収納。
- ゴミ箱
- 食材のゴミや容器のゴミを適切に分別するためのスペースを確保。
注文・提供カウンター
お客様と対面するスペースで、料理を提供したり会計を行ったりします。
- 注文カウンター / 受け渡し口
- 注文の受付と商品の受け渡しを行う窓口。
- 一般的にスライド式の窓やカウンターを備えている。
- キャッシュレス決済端末
- 最近は現金だけでなく、QRコード決済やクレジットカード決済端末を導入するキッチンカーも増加。
- メニュー看板
- 価格や提供する料理を表示するメニュー。
- ボードタイプ、デジタルサイネージ、ポスターなどの形式がある。
水回り・衛生設備
衛生管理はキッチンカー運営において最も重要なポイントの一つです。
- 給水タンク / 排水タンク
- 保健所の規定により一定量の清潔な水を確保する必要あり。
- 通常、給水タンクは50L以上、排水タンクは給水タンクと同容量以上が求められる。
- 換気扇 / フード
- 火を使う場合、換気設備を設置する必要あり。
- 換気が不十分だと、車内に煙や臭いがこもるため重要な設備。
- 消毒液 / 手洗い用石鹸
- 衛生管理のため、手指消毒液やハンドソープを常備。
電気・ガス設備
キッチンカーの運営には電気やガスが必要不可欠です。
- 発電機 / 外部電源
- IHや電子レンジ、冷蔵庫などの電力を供給。
- バッテリーを積むこともあるが、発電機を使用するケースが多い。
- プロパンガス
- 火を使う調理器具にはガスボンベを設置。
- 車内にガス漏れ検知器を設置し、安全対策を徹底する。
キッチンカーのレイアウト例
提供するメニューによりレイアウトが異なりますが、一般的な例を紹介します。
ハンバーガー・ホットサンド系
- 調理エリア:グリドル、ホットプレート、トースター
- 作業スペース:作業台、パンや具材の収納棚
- 冷蔵・冷凍庫:パティや野菜、チーズを保存
- 注文カウンター:レジ端末、ドリンクのサーバーを設置
ラーメン・うどん・そば系
- 調理エリア:ガスコンロ、大型鍋、スープ保温器
- 作業スペース:麺の湯切り台、トッピングエリア
- 水回り:2槽シンク
- 注文カウンター:盛り付けエリア、レジ端末
クレープ・スイーツ系
- 調理エリア:クレープ焼き機、ホットプレート
- 作業スペース:ホイップクリームやフルーツのトッピング台
- 冷蔵庫:フルーツやクリーム、チョコレートを保存
- 注文カウンター:カップや包装材の収納
キッチンカーの衛生管理と許可
- 保健所の営業許可が必要
- キッチンカーの設備が基準を満たしているか検査を受ける。
- 衛生管理マニュアルの整備
- 手洗いの徹底、食材の保存温度管理、消毒の実施が重要。
- 定期的な清掃
- 車内は毎日清掃し、ゴミ処理を適切に行う。
まとめ
キッチンカーの内部は、限られたスペースを有効活用しながら、調理・提供・衛生管理を行うために設計されています。
提供するメニューに応じて、設備やレイアウトを最適化することで、スムーズな運営が可能になります。
これからキッチンカーを開業する場合は、保健所の基準を確認し、安全で効率的な内部レイアウトを考えることが重要です。