キッチンカー(移動販売車)で営業許可を取得するには、以下のような手順が必要です。
自治体によって細かな違いがあるため、営業予定の地域の保健所や行政機関に事前確認を行うことが重要です。
目次
キッチンカーの営業許可とは?
キッチンカーで営業するには、飲食店と同様に「食品衛生法」に基づいた営業許可が必要です。
一般的に「飲食店営業許可(移動販売)」が該当し、自治体の保健所から取得します。
また、営業形態によっては追加の許可が必要になる場合があります。
- 一般的なキッチンカー営業: 飲食店営業許可
- 調理なしの販売(パンやお菓子の販売など): 菓子製造業許可・パン製造業許可など
- ソフトクリームやジュース販売: 乳類販売業許可・清涼飲料水製造業許可など
キッチンカー営業許可を取得するまでの流れ
営業エリアの確認
- キッチンカーは都道府県ごとに「営業許可の管轄」が異なります。
- 複数の都道府県で営業する場合、それぞれの地域で許可を取得する必要があります。
- 一部の自治体では相互承認制度があり、一定の条件を満たせば他の都道府県の許可を利用できることもあります。
事前に営業したい地域の保健所に確認しましょう。
キッチンカーの車両を準備
営業許可を取るためには、保健所の基準を満たす設備を備えた車両が必要です。
【保健所の基準例】
- シンク(流し台):2槽以上(地域によっては3槽必要)
- 給水タンク:容量が規定以上(例:40L以上)
- 排水タンク:給水タンクより多い容量が必要(例:50L以上)
- 手洗い設備:独立した手洗い専用のシンクが必要
- 換気設備:調理する場合は換気扇などの設備が必要
- 冷蔵庫・保冷設備:食材を適切に保管するため
- 作業スペース:十分な調理スペースを確保
- 扉付きの収納:食材や調理器具を衛生的に保管するため
キッチンカーの改造は業者に依頼するか、既製のキッチンカーを購入する方法があります。
営業許可申請
車両が基準を満たしたら、保健所に営業許可を申請します。
申請には以下の書類が必要になります。
【必要書類】
- 営業許可申請書(保健所で取得)
- キッチンカーの設計図・設備概要
- 食品衛生責任者の資格証明書
- 水質検査成績書(給水タンクを使用する場合)
- 事業計画書(場合による)
- 申請手数料(自治体によって異なる)
保健所の実地検査
- 保健所の担当者が実際に車両を確認します。
- 設備が基準を満たしているか、衛生管理が適切にできるかをチェックされます。
- 問題がなければ営業許可が下ります。
検査は事前に予約が必要なことが多いため、早めに調整しましょう。
食品衛生責任者の資格を取得
- 営業許可を取得するには、「食品衛生責任者」の資格が必須です。
- 各都道府県の食品衛生協会が実施する 「食品衛生責任者講習」 を受講すると取得できます。(約6時間の講習)
- 既に調理師・栄養士などの資格を持っている場合は受講不要。
受講費用の目安:10,000円前後
営業許可の取得
- 実地検査に合格すれば、営業許可証が発行されます。
- 許可証をキッチンカーの見える場所に掲示して営業開始できます。
- 許可の有効期限は通常 5年(地域によって異なる)。
- 営業許可証は各都道府県ごとに必要なので、他県で営業する場合は追加申請が必要。
営業開始前に準備すること
営業場所の確保
キッチンカーはどこでも営業できるわけではありません。
- 許可された公園・イベント会場
- 道の駅・商業施設の敷地
- 企業・オフィスの駐車場
- 市区町村の許可がある路上販売エリア
無許可の路上営業は違法となるため、事前に営業できる場所を確保しましょう。
販売メニューの決定
- 保健所の許可基準を満たす範囲でメニューを決定する。
- 例えば「刺身や生肉料理」は不可、「加熱済みの肉料理」はOKなど規制がある。
仕入れ先の確保
- 食材の仕入れ先を決めておく。
- 保健所の審査では「どこで食材を仕入れるか」もチェックされることがある。
ゴミ処理のルール確認
- 営業する場所のゴミ処理ルールを確認する。
- 基本的にキッチンカーで出たゴミは持ち帰るのが原則。
SNS・集客の準備
- Instagram、Twitter(X)、TikTok、Googleマップなどで事前にPRする。
- 営業場所や時間を発信して集客につなげる。
まとめ
キッチンカー営業許可取得の流れ
- 営業エリアの確認(都道府県の保健所に相談)
- 車両を準備(保健所の基準を満たす設備を整える)
- 営業許可申請(必要書類を準備して提出)
- 保健所の実地検査(車両の衛生基準チェック)
- 食品衛生責任者の資格を取得(講習受講)
- 営業許可証の発行(許可証を掲示して営業開始)
キッチンカー営業は許可を取得するまでに時間がかかるので、計画的に準備しましょう。
営業エリアごとの規制が異なるため、まずは 営業予定の地域の保健所に問い合わせることが最重要です。